日本のコンシューマーゲーム市場が衰退し、ソシャゲーが台頭する理由

2017年9月4日

ここ十数年で日本の家庭用ゲーム市場は縮小し続けています。ピーク時の1997年は6000億円でしたが、2016年には3000億円を切りました。2017年上半期はswitchの爆売れもあり昨年よりも15%伸びましたが、それでも過去の売り上げには届きません。

ゲーム市場に関する詳しいデータは下記のPDFを参照してください。分量は多いですが、読み応えがあり、一読すればゲーム市場の全体像が見えてきます。

https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1048_03_05.pdf

読むのがめんどくさい、そんな時間がないという方のために、上記の情報を踏まえながら、なぜ日本のゲーム市場が衰退したのかについて説明します。わかりやすくするために、要素ごとに箇条書きにしましょう。

日本人はどんなゲームが好き?

日本ではコンシューマーゲームが売れていないことがよく報道されますが、海外ではその逆でPS4などの据え置き機が飛ぶように売れています。その理由を一言で説明するなら「嗜好性の違い」です。

欧米諸国の人はゲームにリアリティーやグラフィック、カスタマイズ性などを求めるのに対し、日本人はゲームにキャラクター性やストーリー、コレクション要素を求めます。

前者の要素は高度なゲーム処理が求められ、据え置き機でしか実現できません。スマホで3Dゲームをやると、マシンパワーに無理が生じて発熱してしまいます。そもそもこうしたゲームは小さいゲームでやるものではないですね。

キャラクター、ストーリー、やり込み要素が好き

一方日本人の好きなキャラクターやコレクション要素はスマホでも実現できます。キャラクターの絵を表示するだけなので、マシンパワーの弱いスマホでも処理可能です。キャラクターのステータスも数値を動かすだけなので簡単です。かっこいいキャラクターや武器、アイテムなどのイラストをたくさん用意すれば、コレクション要素も満たせます。つまり日本人がゲームに求める要素は、ほとんどスマホで実現できるのです。

例えばパズドラやモンストは基本的にモンスターを育成するゲームです。ダンジョンを攻略するのも育成に必要な素材を集めるためか、欲しいモンスターを手に入れるためかです。

据え置きなんていらない

そして壮大なグラフィック、生きるか死ぬかの緊迫感、シビアなゲーム性などは多くの日本人は求めていません。日本人の間でFPSが流行らないのもそのためです。ざっくりいうと、ゲームは単なる暇つぶしで、気軽にぼちぼちできればいい、みたいなスタンスですね。

したがって日本人のゲームに対する価値観は据え置き型のゲームと相性が悪いのです。多くの人は家でガッツリ!ではなく、電車や待ち時間でポチポチの方が性に合います。だからこそ日本ではスマホアプリのソシャゲーが流行るのです。

開発予算が桁違い

日本のコンシューマーゲーム市場衰退の理由は他にもあります。それは開発予算の違いです。世界規模のゲーム会社はゲームの開発に何百億の資金を投入します。そのあとも莫大な広告費を投入して全世界にゲームを販売します。巨額の投資をしても、それ以上のリターンが見込めるのです。ハリウッド映画も同じ手法で莫大な制作費をかけて、世界規模で上映して、費用を回収します。

一方日本のゲームの多くは国内向けで作られており、欧米市場での売り上げが見込めません。日本のゲームが劣っているというのではなく、日本人と欧米人ではゲームの好みが違うからです。確かに日本のゲーム技術なら質の良いFPSも作れるかもしてませんが、それが欧米人の好みに合うとは限りません。だから一部のゲーム会社は欧米のゲーム会社を買収して、その会社にゲームを作らせたりもします。

その他にも言語や文化の問題もあります。日本で好まれるキャラクターが欧米で好まれるとは限りません。欧米のゲームではか弱い美少女や華奢な美少年はあまり活躍しません。また日本と欧米では言語の壁も大きいので、翻訳作業も一苦労です。このように日本のゲームを海外に売り出すことは非常にハードルが高いのです。

ここまではみずほ銀行のゲーム産業に対する意見です。ここからは一人の消費者としての意見も付け加えます。

無料ビジネスを活用していない

コンシューマーゲームとスマホゲームの運命の分かれ目はここにあります。音楽や画像、動画に情報など、娯楽コンテンツを無料で享受できる立場にある若者たちはこう思うはずです。「なぜ日本のコンシューマーゲームは無料でできないのだろう?」と。

私も含め彼らはコンテンツにお金を払わないことに慣れすぎて、ゲームにお金を払うことにためらいを感じるのです。買ったゲームがつまらなかったら大損だ、ブロガーのレビューはステマかもしれない、YoutubeのPVだけでは面白いかどうかわからない、など考えているでしょう。

よく分からないゲームにお金を使いたくない

私も2DSLLやソフトを最近買いましたが、それでもかなりの葛藤がありました。大金を使うことに嫌悪感を感じているのです。現代の若者にとって2万円はかなり大きな出費です。お金を使うことにも慎重で、本当に価値のあるものにしかお金を使いたくないのです。

ゲームの面白さというものはプレイしてみないとわかりません。いくらプロモーション動画が面白そうでも、実際のゲームバランスがひどければクソゲーの評価を受けます。

コンシューマーゲームの最大の欠点は、無料でプレイしてみることができないことです。まずはゲームを無料開放して、それを気に入った人が追加コンテンツでお金を落とすようになるのが理想です。

スマホゲームは無料ビジネスが上手

それに対してスマホゲームは無料ビジネスの利点を最大限に活用しています。パズドラもモンストも無料で遊べます。ガチャに関してはいろいろ批判もありますが、難易度の高いダンジョンでなければ通常のキャラクターでも楽しめます。お金を使うのはゲームにこだわるヘビーユーザーだけで、ライトユーザーはお金を使わずにゲームを楽しめます。

ライトユーザーも最初のうちはお金を使いませんが、ゲームにハマるにつれて多少のお金を使うようになります。ゲームが十分の面白ければライトユーザーも少しはお金を使います。面白いかどうかも分からないゲームに何千円、何万円も使うことが嫌なのです。

だからスマホゲームは最初は無料でないといけないのです。プレイヤーはまず無料でゲームをプレイして、面白いと感じてからようやくお金を使うのです。今のゲーム市場はこのやり方が主流になっており、初めから有料のコンシューマーゲームは少なくとも日本では淘汰されつつあります。

パッケージ版が邪魔すぎる

日本のコンシューマーゲームの弱点その2は、パッケージ化されたゲームが主流であることです。情報化社会の現代でパッケージのゲームは時代遅れです。パッケージ版のゲームを買うとなると、店舗に買いに行ったり、アマゾンで注文したりしないといけません。別のゲームをするときはソフトを差し替えないといけませんし、中古で売るのもめんどくさいです。

ゲームのダウンロード版も一応用意されていますが、定価販売なのでメリットがほとんどありません。パッケージ版は中古が売られており、飽きたらメルカリで売ることで、実質的にゲームの値段の2割くらいでプレイできます。ゲームの価格面でパッケージ版の方がはるかに安上がりなので、多くの人はパッケージ版を選びます。

ダウンロード版が高すぎる

例えば私のプレイした「ポケットモンスター ムーン」はダウンロード版は5000円で販売されています。一方パッケージ版は買った時には3700円で、売った値段は2000円でした。つまりパッケージ版なら実質的に1700円でプレイできます。パッケージ版がこれほど安上がりなら、ダウンロード版なんてバカバカしくて誰も買いません。こうして日本のゲームのダウンロード版は形だけのものになります。

私の売ったポケモンムーンは見知らぬ誰かの手に渡りますが、そのゲームを買っても任天堂にお金が落ちることはありません。ゲーム会社が中古市場を毛嫌いしているのはそのためです。

ここでポケモンムーンが2000円くらいで配信販売されていれば、私からもその人からもお金が取れたのにと思います。ゲーム会社は全てのプレイヤーからお金が取れますし、プレイヤーはゲームを安く買うことができます。唯一損をするのはゲームの小売店ですが、ツタヤやブックオフ同様ビジネスモデルとして成り立たないのでもう潰れてもいいと思います。

まとめ

以上が日本のコンシューマーゲームの衰退理由です。軽くまとめるつもりでしたが、それなりな文章量になりました。日本のゲーム企業も岐路に立たされています。勝負の分かれ目は無料ビジネスを生かせるか否かに分かれると思います。欧米のゲーム会社が次々と基本無料を打ち出している中で、日本のゲーム会社だけが高い値段でゲームを売るのは無理がありますからね。

面白いゲーム

最後に私が現在唯一ハマっているゲームを紹介します。それはハースストーンです。ハースストーンは、プレイ人口が世界で2番目のオンラインカードゲームです。基本無料、全世界対応、スマホ・パソコン対応なので、世界中の誰もが気軽にプレイを始められます。現代のゲームビジネスがしっかり分かっている感じです。本当に素晴らしいゲームなので、いつか記事にしたいと考えています。